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2012年5月17日 (木)

BRZ/86

TOYOTAとSUBARUのコラボで開発されたスポーツカー。
気になる車ではあるが、市場投入が遅すぎた。

若者向けのスポーツカーを出したつもりなのだろうけど、実際ターゲットの若者はほとんど興味を示していない。
20代前半の女性が「狭いでしょ」と酷評していた。
それは逆に言えばバスやトラックに「遅いでしょ」と存在を否定するのと同じ。
ある意味当たり前で、どうでもいいところを欠点として評価して否定する。
スポーツカーを不必要な車とみなしている表れ。

この言葉を聞いた時、ショックだった。
スポーツカーを「狭い」と切り捨てる感覚は自分にはない。
スポーツカーにとって、広さはムダ。
そんなことも理解されていない。
スポーツカーを受け入れる文化が、この世代にはないことを確信した。

スポーツカーの存在意義を、特に女性に向かってアピールしてこなかったメーカーの責任だと思う。
女性がカッコいいと思わない車を男が積極的に買う筈がない。
それでもスポーツカーを選ぶのはオタクな奴等で、その結果がモータースポーツを一般人が羨望の眼差しを向ける憧れの世界から、普通の人は踏み込まない趣味の世界へ変えてしまった。

スポーツカーの存在意義は憧れと夢である。
今の若者は、一般的に車に憧れも夢も抱いていない。
トップメーカーであるTOYOTAが、憧れのスポーツカーを造り続けなかったからだ。
憧れの対象がなければ、夢を見ることはできない。

彼らにとって車は自分の空間。自分の部屋の延長。
だから、広さや快適性が重要で、スポーツとしての性能はどうでもよい。
そんな感じなのだろう。
或は、スポーツカーとはフェラーリなどの普通は絶対に手が届かないもので、現実の憧れにはならない存在。

自分の思う車の存在意義は、自分で運転して目的地へ移動する道具だ。移動する部屋ではない。
スポーツカーとは、運転そのものを楽しむ目的の車だ。荷物を運ぶための車ではない。
自分の感覚で氾濫している車を見ると、間違っている車が多すぎる。

部屋ならある程度の飾りも必要だろうが、道具なら洗練された機能美を求める。
運転そのものを楽しむのだから、エンジン音も、ロードノイズも、ステアリングインフォメーションも、疲れない程度に多い方が良い。
限界が分り易く、素直で素早い挙動。操作した分だけ適切に利くステアとブレーキ。欲しいときに十分応えてくれるパワー。
これらの理想は全て理想の「部屋」とは対極。

そして、これらを高次元で実現するためには、しっかりした設計と作りこみが必要で、それは芸術品の領域とも言える。
立派な工芸品だと思う。

その工芸品を作らず、売れる車のみを作り続けてきた。
トップメーカーが夢を捨てた。

その結果がスポーツカーを憧れとして見ない世代だ。
日用品と高級家具しか作らなかったTOYOTAの責任だと思う。それがトップメーカーの責務。

事実、TOYOTAにスポーツカーを設計できる能力はない。
TOYOTAブランドで世界のレースに参戦したのは、セリカでWRCに挑戦したのが最後だろう。
それも大した成績は残せなかった。
既に10年以上前の話だ。それ以降スポーツカーと呼べる車を造っていない。

未だに86を引きずるのも、マンガによって「86」が注目されたからだが、それ以外に印象に残るスポーツカーがないのも事実。
未だに名車としてTOYOTA2000GTが引き合いに出るが、同等以上の知名度のある車はない。

強いてあげればセリカとMR2だろう。
この2車はTOYOTAを代表するスポーツカーだが、セリカは中途半端なモデルチェンジをして消えた。

MR2は名車というには完成度が低かったと思う。
脈々とモデルチェンジを重ねて完成度を上げ、歴史を作れば名車に成り得たと思うが、販売不振に負けた。

GT-Rにこだわって歴史を作ってきたNISSANに比べて、不甲斐ない。
トップメーカーがそんなことだから、スポーツカーを理解する文化が消えるのは当たり前。

スポーツカー文化を継承する重要性に今更気付き、既に単独では設計できないから世界で戦える実力のあるSUBARUと組んだ。
それは悪くはないが、情けない。

今するべきなのは、TOYOTAがそのブランドで、フラッグシップとして憧れの対象になるスーパースポーツと、同じコンセプトが感じられるライトなスポーツカーを売ることだと思う。
BRZ/86はその中間に位置する、実際のレースに参戦する車だと思う。
もちろん、全ての車は世界のどのレースに出しても勝てる性能が必要で、本気のスポーツカーでなければ意味がない。

今のTOYOTAにはできないだろう。
設計する実力がないだけでなく、TOYOTAユーザーにはスポーツカーを使いこなす腕のない人たちが大勢いる。
そんな人たちがスポーツカーを操るのは事故の元。
安全対策や乗り味に関して、そんなユーザーに配慮しなければならない。

そのためにトガッたおもしろさは消え、丸く飼いならされたラグジュアリーカーとなる。
既に新86はその傾向にある。
カッコだけはスポーツカーだけど、走らせるとラグジュアリー。
そんな車をTOYOTAは過去に何台も世に出していて、失敗だったと思う。
新86はそこまで行っていないが、スポーツカーの割り切りとしては甘い。

スポーツカーは、腕の立つ人を対象にするべき。だからこそプレミアムであり、憧れの対象になる。
今のTOYOTAには真のスポーツカーは出せない。

本当にスポーツカー文化を継承するなら、誰でも乗れるなんとなくなスポーツカーではなく、乗る人を選ぶ本気のスポーツカーを造る。
それに尽きると思う。

乗り心地が悪いとか、うるさいとか、内装が貧相とか、スポーツカーにはほめ言葉だ!
それが理解できない人の意見に流されるな。
機能美だけを追求した車を作ってほしい。

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コメント

トヨタはスポーツカーを作るべきと言う点で評価するが、BRZ/86は及第点に達していないと…ふむふむ。

投稿: Syna | 2012年5月19日 (土) 01時15分

正確には、86はトヨタユーザー向けに乗り心地を重視した仕様。
BRZは、よりスパルタンな仕様になっており、同じではない。
両社の考え方が違うから、同じ車にならなかった。
当然好みはBRZup

しかし、雑誌でも中心は86でBRZはおまけ的。
チューニングのベースカーとしては明らかにBRZの方が向いているにも関わらずだ。
結局、トヨタが好きな人が多いってことだ。
つまり、トヨタが本気のスポーツカーを出さなきゃダメなんだ。

投稿: Hybrid | 2012年5月19日 (土) 04時19分

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