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2012年6月24日 (日)

DX7

何のことか分かる人は中年以上でしょう。
ここでは、シンセサイザーの往年の名機 YAMAHA DX7 のことです。

今、修理依頼で入ってきていて、久しぶりに対峙している感じです。

高校の頃の思い出も重なる、自分にとっては思い出深いシンセです。
デジタルシンセの幕開けと言っても過言ではない。
シンセサイザーの歴史に残る重要なモデルと思います。

ちょうど授業でFM変調の原理を学んだばかりで、それがシンセサイザーの音作りの原理にもなる。最初は理解に苦しみましたが、後輩がこのシンセを手に入れ、音作りのため貸してくれたことが理解を深めるきっかけとなったのです。

デジタルシンセの原理を勉強したのもDX7でした。
それまでに取り組んだシンセはアナログ。原理や音作りはそれなりに理解し経験してきましたが、その常識が通用しない相手。

アナログでは変調はほとんど使わず、フィルターによって音を作るのが基本ですが、DX7のFM音源はフィルターを持たず、変調をきめ細かくコントロールすることで多彩な音を作り出す。

原理とパラメータの効果を理解していないと、狙った音を作るのは難しい。
そして特筆すべきなのは、音の再現性。パラメータの数値さえ合わせれば、個体が違っても同じ音が再現できる。

アナログでは基本的にボリュームの位置を合わせることになるが、少しでも違うと全く同じ音にはならない。それが10個程度以上あるので、再び同じ音を再現するのは、同じ個体でもほぼ不可能に近い。

この差によって、新しい時代が来たことを実感したのでした。

この機種以降主流はデジタルとなり、DX7も含めて軽い浅いと言われていた音色も、新機種が出るたびに良くなっていき、現在アナログは一般的にはシミュレーションの中でしか見ることはなくなりました。

自分はアナログのおもしろさを忘れないため、名機 SUPER JUPITER を温存してます。

修理依頼は、音が出ないとのこと。
調査してみるとインターナルメモリーのデータ破壊で、パラメータ設定がめちゃくちゃ。

音色編集でイニシャライズしてやると、とりあえず基本波の音は出たので、回路の不具合はなさそう。

よくあるパターンの故障としてはバックアップ電池の消耗での破壊だが、電池の電圧は異常なし。2.2Vの限界電圧に対して2.8Vあるため余裕はある。
但し、一度も交換した形跡がないため一応交換も視野に入れているが、端子を溶接したリチウム電池を基板に直にハンダ付けしている実装方法のため、交換は容易ではない。

もちろん、交換するための道具や腕前は問題ないが、どうせ交換するなら電池ホルダーを追加して以降の交換を簡単にしたい。
ホルダーを使用することで、電池に端子をハンダ付けする作業を無くし、加熱による電池のストレスを無くせば信頼性も高い。
電池に熱は大敵。増してハンダ付けの温度は電池内部に損傷を与えかねない。

電池ホルダーを探しているが、まだ良い物が見つかっていないのでとりあえず見送り。

問題はデータの復活。
オーナーが購入時に付属している音色カートリッジを保管しているのか定かではないし、どうも年配の方らしいのでアテに出来ない。

となれば、ネットでどこかに公開されていないか探ってみたところ、海外のサイトで発見!

購入時の付属データと共に、著作権フリーのデータも数百あったのでそれもダウンロード。
このデータをいつも使用しているレコーディングソフトの、MIDIシステムエクスクルーシブデータ管理機能を使って、MIDI経由でDX7へダウンロードしたところ、見事に復活!

オーナーがどの音色セットを使用しているのか分からないので、とりあえず一番最初の名前があるセットを入れました。

後は汚れを落として、しばらく放置してデータが消えなければ返却しよう!

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